低インシュリンダイエット

管理栄養士

人気の秘密はどこにあるのか?

低インシュリンダイエットの痩せるメカニズムを詳しく検証してみました。あわせて、インシュリンと関係の深い糖尿病についても解説してみました。

低インシュリンダイエットとは? bookmark

インシュリンとはすい臓から分泌され、血糖値を下げることのできる唯一のホルモンです。食事をする事で、その中に含まれる糖質が小腸から吸収され、血管の中に取り込まれます。このインシュリンの作用を利用しようというのが低インシュリンダイエットです。
血管の中に入った糖質は血中グルコース、あるいは血糖と呼ばれ、食後約30~1時間で最大値を示します。
血糖値が上がるとすい臓のランゲルハンス島β細胞からインシュリンが分泌され、ブドウ糖を全身の細胞に取り込みます。すると、血糖値が下がるのです。
しかし、ヒトのインシュリン分泌量には限りがあるので、インシュリンの節約をするため、血糖値の上がりにくい食品(低GI値:グリセミック指数)を摂取したり、糖質の摂取を控えることによって、すい臓からグルカゴンというホルモンが分泌され、血糖値を上げるために肝臓のグリコーゲンに作用して体内でグルコース(ブドウ糖)を作り出します。
また、インシュリンは血糖を下げる作用のほか、体内の皮下脂肪の分解を抑える作用もあります。

『インシュリンの分泌量を節約すれば、減量できる』

この事から、インシュリンの分泌量を節約すれば、体内の脂肪組織の細胞に蓄えられている中性脂肪が分解され、その結果、減量につながる、というのが低インシュリンダイエットの考え方のようです。
低GI値の食品を選んで食べる以外は、カロリーを気にしなくて良い、運動をしなくて良い、との事ですが、このダイエット方法に異議を唱える医師や専門家の方が大勢いらっしゃいます。

私も低インシュリンダイエットには疑問を感じている一人です。

疑問点は? bookmark

カロリーを気にせず、いくら食べても大丈夫?
② 運動しなくても良い?

上記2点が私の疑問に思っている点です。この2点の疑問を中心に低インシュリンダイエットについて考えていきましょう。

血糖値を低く抑えれば太らないという訳ではありません。

結局、食べ過ぎれば同じ、太る・・・・ということなのです。
その上、低GI値ダイエットの食品ばかり選んでいたら栄養は偏りかねませんし、全体のエネルギー量のうちの脂質の割合も高くなってしまい、体に良いとは決していえません。
脂質摂取の方が糖質摂取より多い食生活を続けていると、脂肪酸がエネルギー源として利用され、その代謝物としてケトン体が合成されます。その結果ダイエット臭の原因になりうると考えられます。
※ダイエット臭の頁で詳しく解説していますので参考にして下さい。

また、脳の唯一のエネルギー源はブドウ糖です。そのブドウ糖の元である糖質をカットしてしまう(使わない)のは、脳にエネルギーが行き渡らず、相当危険な行為ではないかと感じています。

それから、低インシュリンダイエットは、血糖値を上がりにくくする食生活をするのですが、そんな食生活を長期に渡って続けていれば、インシュリンの作用が生体内で不足し、全身の細胞での糖の利用が減少、肝臓での糖新生(肝グリコーゲンからグルコースが作られること)が増加し、血糖が上昇します。

また、脂肪組織の中性脂肪は分解されて遊離脂肪酸とグリセロールとなりますが、糖の分解系が不活発なので
酸化されにくく、一部は糖新生の材料として利用されいっそう血糖を押し上げるとともに、異常経路で有機酸であるケトン体が合成され、血液は酸性に傾いてしまいます。(ケトアシドーシス) ここでもダイエット臭の原因が発生しています。

このように、インシュリンの節約どころか、うまく血糖が調節できなくなって、果ては糖尿病になっていまうのではないか・・・・と思っているのは私だけでしょうか?
関連記事:糖尿病について

運動しなくて良い? bookmark

低インシュリンダイエットでは、運動は必要ないとうたっています。
確かに運動による消費エネルギーは思ったよりも少ないものですが、運動は筋肉や骨などの徐脂肪体重が減るのを防ぎ、筋肉量をふやす事で基礎代謝がアップしてやせやすい体となるという大切な役割を果たします。

しかし、ぐうたら生活を続けていて、減量に成功すると、脂肪だけてなく筋肉や骨も減っているのです。そこでリバウンドしてしまうとさらに脂肪がついてどんどんぶよぶよの体になっていまいます。
多少の運動はダイエットには不可欠です。これも低インシュリンダイエットで私が疑問に思うポイントです。

関連記事:肥満の合併症

※今回の解説は、あくまで永田氏が提唱する日本版低インシュリンダイエットについての解説です。GI値に配慮したダイエット法として、炭水化物抜きダイエットについても解説しています。あわせてご覧ください。
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